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彩遊記

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大変事

ちょっと前までは、ありえないと思っていたことが次々起こる。
黒人の大統領が誕生したり、石油の価格が跳ね上がったり急落したり。

これまで信用を落とすまいとあの手この手で踏ん張ってきた社長さんたちから「たいへんだ」の声が聞こえ、まさか、まさかのトヨタやソニーまでもが「たいへんだ、たいへんだ」と言い出した。

世界のリーダーを振りかざしていたアメリカも、どうも負けが込んだ博徒のようだ。にっちもさっちもいかないのか、それとも「たいへん」の言葉とは裏腹に人の心理を大きく誘導する心理作戦なのかはうかがい知れない。しかし、ありえないと思っていたことが、ありえる時代になったことだけは確かなようだ

たまたまぼくは、長期の中国生活で、毎日どこかで遭遇する腑に落ちないことや、突然のモノ・コトの変更で鍛えられ「たいへん」に対する勘がある。怪しいモノには勘が働き、なるべく「たいへん」になるのを避けてきた。

でもそれだけじゃ、つまらない。ときには、装いよろしいちょっと怪しいモノ・コトの世界に飛び込んでみた。いい経験にはなるのだが、まあ、そのほとんどに利が絡み、それを仕切る裏の大親分にとっては、おいしい話が多かった。





中国の、ぼくの住まいの窓からは、桂林の山水風景の前に林立するマンション群がある。そのマンションをよく見てみると空き部屋だらけだ。それでもつくり続ける様子から、ここにも資本の暴力がウイルスのように、はびこっているようだ。 

日本へ帰国してみると、ひっそりと「たいへん」なことが待ち受けている。にっちもさっちもいかない「たいへん」ではないが、いざ自分のコトと重ねてみるとたいへんになる。

電話しようとしても公衆電話が見当たらない。電話ボックスがすっかり消えている。

司法試験を突破したプロ中のプロの仕事だと思っていた裁判に、普通のおじさんにも裁判員の要請がくる。

我が家のテレビ画面の右上には「アナログ」の文字が、さりげなくしたたかに出現している。 

もともと日本には和魂(ニギミタマ)と荒魂(ア ラミタマ)というものがある。
和魂は事態や気分を和ませ、和らげる。荒魂はその反対にやや荒っぽく対処する。このふたつが、バランスをとりながらうまく立ち回ってきたのが日本だ。

このところの日本、何事もコトを荒立たせないことを優先に、和魂のほうだけにバランスを片寄らせ過ぎているかに見える。必要とあれば、もうちょっと荒ぶるのもいいのでは・・・。
日本は過去、黒船がきたり、たいへんなときでも「たいへんだ、たいへんだ」と言いながら、和魂と荒魂をいいあんばいで使い分け対応していた。

「たいへん」は、大変事。モノ、コトが大きく動うごく。

どんどん闇へ落ちていくのか、それともこの「たいへん」を新しい価値観への兆しとするのか、深呼吸して周りを見渡し、あるがままの自然をみつめて模索していきたい。
by ogawakeiichi | 2009-01-30 04:52 | 南日本新聞コラム
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