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彩遊記

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アジアのかたち・渦

アジアの『かたち』をみていくときに重要な型があります。それは渦です。代表的なカタチに『神』があります。

神の文字の旁は申です。古代の申は左巻きと、右巻き、二つの渦を結ぶかたちとされました。じつは、この渦は稲妻の光に由来します。雷の力は、地上に五穀豊穣をもたらす源となるもの。つまり神の旁である申は、稲妻をカタチ取り、天に潜む超越力への信仰をかたちにしたものです。
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右と左そして渦の力はかかわってる興味深い一対性が隠されています。二つの渦がからみあうのは、日本の注連縄です。注連縄は、神々がすまう場所を結界し、穢れをきよめるために張られるものです。注連縄は、左手を手前に引くように縒りあわし、反時計回り『左巻き上がり渦』を聖なる渦と考えました。
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注連縄は、日本、あるいは3本の綱で綯われます。二本の縄は、陰陽の象徴性をもつものっで、3本の太い綱を綯う場合には三本が『天、地、人』に見たてられます。

左巻きは、日本では日常的に出現します。たとえば大相撲では、力士たちが土俵で左回りに足をはこび、夏祭りの盆踊りも、左回りに足をはこび、神楽もまら左回りで神を招くとされています。左回りは、非日常的はハレの場の特別な回転方向であったのです。

大相撲の横砂のます化粧回しには二つのかたちがあります。『雲龍型』と『不知火型』です。これは『かたわな結び』と『もろなわ結び』の変形です。綱の両端をそろえピンとたてているのが雲龍型。ふたつの結び輪を両端をややそり上げたものが不知火型です。中国では、一つ輪と二つ輪は、はっきりと違う世界を表すといい。一は陽、二は陰です。つまり雲龍は陽、不知火は陰ということになります。それぞれ10代横綱・雲龍久吉と11代横綱・不知火光右衛門の型が伝えられたものであるとされています。
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                           雲龍型
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                           不知火型

雲龍型と不知火側のふたつの横砂の型をくらべてみると、ある象徴的な動物の姿が浮かんできます。『鶴』と『亀』です。陰の不知火型は、羽ばたくような『鶴』の姿を想わせ、それに対し、二つの結び目をもつ『陽』の雲龍型は、まろやかな『亀』の姿に似ています。,ところで、この雲龍型と不知火型は、綱の結び方ばかりでなく、
土俵入りの型のうえでも、はっきりとして違いをみせます。雲龍型の横綱は、右手一本をかかげる土俵入り、一方の不知火型の横綱は、両手を広げてせりあがる。一である陽と、二である陰。一対をなすこの原理が、綱の結び型だけでなく、土俵入りの『かた』まで力をおよぼしていたのです。。(引用:杉浦康平・かたち誕生)
by ogawakeiichi | 2009-03-02 16:39 | アジア史&思想
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