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彩遊記

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イチロー、牛ぁ!

賞味期限もまもなく切れようとする話題だが、「ワールド・ベースボール・クラシック」で日本が優勝したときのことだ。

中国の学校の同僚から「日本の野球は、牛!」と国際電話がかかってきた。実は「すごい!」を中国語で「牛(ニュウ)」と言う。「すごい」というよりニュアンス的には「すげぇ~」という感じに近い。今年の牛年(うしどし)にかけていたのかもしれないが、「牛!、牛!」を連発して優勝を称えてくれた。  普段、メールのやり取りはするものの、わざわざ電話をかけてよこすことはない。

話の内容も、野球がメインではなかったはずなのに、いつのまにか話題はそちらのほうに向かっていた。中国では野球のことを「棒球」という。近年プロリーグが発足したとはいえ、そう馴染みのあるものではない。日本におけるスポーツの浸透レベルで言えば、例えばラクロスとかセパタクローに近いのかもしれない。中国で人気があるスポーツといえば、都会ではサッカーとバトミントン、田舎ではバスケットと卓球だ。また、どちらかといえば「見るスポーツ」はサッカーとバスケットボール、「するスポーツ」は卓球とバドミントンだろう。

野球がなかなか普及しない理由の一つに、大陸のグランドはセメントで固められているケースが多く、野球には不向きな環境であることも影響している。そんなことから北京オリンピックの競技種目とはいえ、野球がメディアに登場することはめったになく、知名度も極めて低い。

ところが、である、ぼくが行き来する桂林の学校には、日体大で野球を学んで帰国した中国人と、高校野球を経験した日本語の教師がコーチとして指導する野球チームがあるのだ。校内の掲示板には、どこから仕入れてきたのか、イチローや清原など日本人プロ野球選手の切り抜きを使った部員募集のポスターが貼られている。コーチの姿が見えないある日のこと。「バットでフライを上げてくれませんか」と頼んできた。「そんなねぇ、日本人だからといって、だれでも野球がうまいわけじゃないんだから・・・」と言うものの、下手でもいいですからと、たてまつられた。まぁ、ホントに下手だとわかったらしく、その後、声は掛からなかったのだが・・・。

じつは、中国において草の根で野球を普及しているのは、日本企業の駐在員や青年海外協力隊の人たちが多い。赴任先に草野球チームを立ち上げ野球大会を行ったり、少年野球チームを立ち上げたりしている。
電話してきた同僚も、野球チームが身近にあるのが影響したのか、やたらと野球に詳しくなっていた。最後の話題はやはり、イチローのことだ。

「禅僧のようでクールなイチローも、スランプから、心が折れそうになることもあるんだ」という話に始まり、なんといっても二人が一致して「イチロー、牛!」と驚嘆しあったことは、延長十回二死二、三塁の土壇場、九人の打者の中で、九分の一の確立を引き寄せ、そこでヒットを打った『イチローの執念』のことだった。
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by ogawakeiichi | 2009-04-05 05:17 | 南日本新聞コラム
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