人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

彩遊記

ogawakeiic.exblog.jp

ユビキタス

携帯電話の人口普及率は80%を越えた。この数字は嬰児から、高齢者も含めた数字だから、現在,日本での普及率はほぼ100%と言っても過言ではない。現在「ケータイ」は音楽、動画、カメラ、財布機能等、あらゆる情報交換・収集・享受機能を備えたモバイル情報メディアとして、擬似身体の一部として利用されている。

マーケティングの経験則では、モノの普及速度は世帯普及率が10%を超えると急速にアップする。固定電話は世帯普及率が10%を超えるのに75年。FAXは19年、パソコンは13年。携帯電話も15年もかかったのだが、インターネットはわずか5年しかかからなかった。その後の携帯電話における急激な普及率アップは携帯電話に『インターネット』、『メール』の機能を組み込んだのが大きな要因だ。

近年、「ユビキタス」という言葉の頻出度が高まっている。元来ユビキタスとは、近代ラテン語に登場する神学、とくにキリスト教の概念で「イエス・キリストが、時間や空間を超越して遍在(あらゆるところに存在)すること」をさす。ごくごくシンプルに言えば『神はあまねく存在する』といういことで、もともとは「同時にどこにでも存在する」というより、「何時でもどこでも存在する」という意味である。

一方、現在の意味のユビキタスを最初に概念化したのは、1988年に「生活環境のあらゆる場所に情報通信環境が埋め込まれ、利用者がそれを意識せずに利用できる状態」をユビキタスコンピューティング(略してUbiComp)と定義したゼロックス研究所だ。

ゼロックス研究所は、家電製品・衣類・住居・施設・道路など、ありとあらゆる場所に情報通信技術が存在する状態こそが「第3世代の利用形態」だと予想した。

インターネット環境やモバイル環境が急速に充実した2000年頃からは、『ユビキタス』というこの語が「実現可能な概念」として再注目されることになり、現在に至る。

具体的にそれはどういうことかというとコンピューターの利用形態を3世代に分けて、
1.【メーンフレーム】/1台の大型コンピューターを多人数が使う
2.【パソコン】/1台のコンピューターを一人が使う
3.【ユビキタスコンピューティング】/一人を多数のコンピューターが取り巻く
と説明した。

ユビキタスとは、それが何であるかを意識させず、しかも「いつでも、どこでも、だれでも」が恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術だ。 国産OS「TRON」の開発者として知られる、東京大学教授『坂村健』もまた、1980年代初頭に同様の概念を提唱していた。

■坂村は、ユビキタス情報社会を
================
●「集中」から「分散」へ
大型コンピューターからワークステーション、パーソナル・コンピューターへ

●「PC」から「非PC」へ
PCから携帯電話、ディジタル・カメラへと手段が広がる

●ネットワークに接続されていることが大切
携帯電話自体の容量よりも、ネットワークに接続され、高機能のサーバーがあることが大切。
===
と言う。

これからの時代、携帯電話、ディジタル・カメラだけでなく、あらゆる家電製品のみならず、家具、壁、あるいは道路などがコンピューターが内臓されていく。

今、東京では『東京ユビキタス計画・銀座』というプロジェクトが進んでいる。これは、銀座地区の道路、建物、地下鉄の通路などにコンピューターが埋め込まれ、歩行者はナビを使って、地下街を迷わずに歩いたり、今日1日歩いた道筋を確認できていくというものなのだ。

たとえばだが、さらには、コーヒーカップに定期的に何らかの電波が当たり、カップに電波が当たると,カップ内の情報はすべてデジタル化され,情報がインターネット接続機器に信号として渡される。信号を受けとった機器はそれをイベントとしてCPUを回転させ,カップ内のコーヒーの温度などを計算し,適切な温度まで温められるエネルギーを供給する命令信号をカップに送る。ようになっていく。

人や状況によって変化していくダイミックな機構を有し、モノや環境に溶け込んでいくユビキタスコンテンツは、衣食住遊の領域において、コンテンツ同士がネットワークでつながり、ユーザエクスペリエンスの蓄積や連動を可能とさせるコンテンツだ。

このような領域におけるインタラクションデザインに対して、従来のデザイン理論のみでは不十分であり、ユビキタスコンテンツとして、新たなデザイン理論を構築する必要に迫られてきている。まあ、おいらにそちらへの指向性はないが、それはそれとして記録しておく。
by ogawakeiichi | 2009-04-28 17:19 | 情報とデザイン
<< 老子 九州とデザイン >>