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彩遊記

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シェルドレイクの仮説

シェルドレイクの仮説_f0084105_1135328.jpgすいぶん都合のいい仮説だなと思いつつも、この仮説に当てはめると、神様の思し召しだとか、ゴッドハンドの力だとかの、普段は神のレイヤーで扱っている論理的に処理できないモノやコトが観念世界よりいま一歩、論理的な概念世界に近づける気分になる。しかし、同時に擬似科学と科学のあいだで右へ左へと揺らされ、弄ばれている気がしないでもない。

「シェルドレイクの仮説」とは、ご存知の方も多いと思うが、英国人ルパ-ト・シェルドレイク(RupertSheldrake)がとなえた仮説である。この仮説は以下のような内容だ。

1.あらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する。

2.離れた場所に起こった一方の出来事が、他の出来事に影響する。

3.形態のみならず、行動パターンも共鳴する。

4.これらは、「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こる。

1・『あらゆるシステムの形態は過去に存在した同じような形態の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する(時間的相関関係)』 とは、キリンの首が長いのは、過去に首の長いキリンが多かったから、そのように遺伝するようになったと考える。ごくごく常識的な思考としては、それは遺伝子のせいじゃないの?と思いがちだ。が、同じ遺伝子をもつ生物がおなじ形態をもっておなじ行動をしなけらばならないとするのはオカシイと考えた。(わかるかな?)

う~ん、この説明ではまだ分かりにくい。高いところにある葉を食べることを続けたため、遺伝子が進化して首が長くなったと考えるのではなく、ただ単に過去に首が長いキリンが多かったから、今のキリンの首が長いのだと考える。(※近年、キリンの首が長いわけを、ウイルス説に求めるものもある。)

2・離れた場所に起こった一方の出来事が、他方の出来事に影響する。(空間的相関関係) とは、ニホンザルで芋を海水で洗うものがいた。塩味がついて美味であったのだろう。そうすると、みるみる同じサル山のサルたちが同じ行動をとるようになり、しかもそのサル山から海を隔て遠く離れた場所のサルも同様な行動を取るようになった。世界中で同じ現象が報告された。という例は有名である。

3.形態のみならず、行動パターンも共鳴する。

4.これらは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こる。

仮説を、簡単に言えば『直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことが距離空間に関係なく他の人や物に伝播する』ということである。

過去にあったこととそっくり同じことが再現されてしまったり、偶然の一致が、確率論では到底考えられない高い頻度で起こったりする。(※デジャブは、海馬の不具合で、昔の記憶が海馬へ逆流という話もあるが・・・)

しかしそれまでどうやっても不可能と思われていたことが、誰かが一度成功すると誰でもできるようになるという例は身近なところでもけっこう遭遇している。たとえば、なかなか破れない世界記録が一度記録が破られると、次々と記録が破られたり、飛行機が墜落すると、世界中で同じ事故が起こったりする類である。

シェルドレイクがこの仮説を発表したとき、世界的に権威のある科学雑誌「ネイチャー」は「もし焼き捨てるべき本があるとすれば、この本をおいてほかにない」と酷評した。

ぼくとしては、若すぎる仮説とは思いながらも、この近辺の動向からは目が外せない。うっ、あやしいなあ~と思っていても、開示されていないこの近辺の覗き見って好きなんです。所詮、仮説だし、最近の量子論の動向に重ね合わすと、大化けする可能性だって捨てたもんじゃない。

そんなわけで、シェルドレイクの「形態形成場(モルフォジェネティック・フィールド)」 が存在するという一番不可思議で興味深いところに迫っていこう。

「形態形成場(モルフォジェネティック・フィールド)」の仮説によると、人の知識や経験は、その人の人生が終わる時に消えるのではなくどこかに蓄積され、そしてそのフィールド(場)には常に皆がアクセスしており、情報を無意識にシェアすることができるという。

個人が感じたことはすべてそこの「場」に送られ逆にその「場」からそれぞれ個人へ情報や感情などが流れてくるという。従って、「記憶」は脳に蓄積されるのではなく、コンピューターで言えば、「サーバー」のような「場」に存在し、脳はそれを解読する役割を果たすに過ぎないという。

これは心理学者のユングの「集合的無意識」とおんなじだ。ユングの先人フロイトは心の場として潜在意識の存在を追及したが、ユングはそのもっと深いところに人類に共通の普遍的な無意識が在ると唱えた。

心というものは決してフロイトのいう個人的な無意識の部分だけでなく、ユングは全ての人類の底に流れている無意識層の存在を提唱し続け、それを彼は【集合無意識】と名づけた。

シェルドレイクはユングの言う【集合無意識の層】に「形の共鳴」作用を考え、「形態形成場(モルフォジェネティック・フィールド)」の仮説を唱えたわけだ。

この考え方で見ると、脳は記憶の倉庫ではなくまたは心でもなく、個人が「形態場」とつながりを持つための身体的入り口なのかもしれない。
by ogawakeiichi | 2009-05-15 11:03 | サイエンス
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