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彩遊記

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天安門事件20年

f0084105_1561886.jpgすぐる木曜日は天安門事件からちょうど20年。20年前のちょうどそのとき、ぼくは立ち上げたばかりのデザイン事務所で、なかなかはかどらない仕事を前に、深夜のラジオから流れる興奮して上ずった北京からの中継を聞いていた。
 
天安門事件をごくごく簡単にいえば、民主化の要求運動を始めた学生や知識人が、天安門広場を占拠。その後、中国政府の奥の院においても、指導者同士の権力闘争が起き、天安門に集まる学生たちに同情的な派閥が敗れ、人民解放軍が学生たちを武力鎮圧した事件である。

ネットを中心とした世界のメディアでは、戦車の前に立ちはだかる人、逃げ惑う人々の写真などで、流血の天安門事件を振り返る特集をしている。

中国では当時の事件に関する情報はまったくない。中国のサイトで検索してもヒットしない。
 
ぼくのある同僚は当時、北京工芸芸術学院(現・清華大学美術学院)で工芸デザインを学ぶ学生だったが、この天安門に集まって民主化要求運動をした一人だ。
 
天安門の当時の状況を聞きたがるぼくに、日ごろは日中関係のゴタゴタや、ちょっとやばい内容も、ジョークにくるめて容赦なく語ってくれるのに、このことだけは口数が少ない。

彼はいま、学校の幹部と学校母体のデザイン事務所の社長の地位についている。まぁ、今の地位がどうのこうのというわけでもなさそうだが、口数の少なさからすれば、そんなこんなで、彼も自己との葛藤(かっとう)でつらいのだということにしておこう。

当時、民主化運動を指揮していた主要な学生リーダーたちは、国外へ亡命したという。

しかし、武力鎮圧の中を逃げ回る一般の学生たちから離れ、誰がどういう方法でリーダーたちを逃がしたのだろう。残念ながらこの脱出ルートについては秘密のベールに包まれたままである(客家・高木桂三・講談社現代新書)。

さて、話は変わって、中国の暮らしが長かったせいか、日本でも中国でも「おまえ中国、好きなんだよな~」と、言われると、微妙に複雑な心境になる。

学生たちの日本アニメのコスプレショーににやけ、知り合ったばかりの中国人から抗日ドラマで仕入れた日本を延々と語られ、ムッとくる。

日本でも中国でも、何かと悪いところだけをあげつらう話を聞くと、これもまた微妙に複雑な心境になる。どちらもメディアの影響とそれを見る判断力に負う。

先の大戦で痛みを受けた方々には大変申し訳が立たないが、歴史認識にはじまる日本と中国との関係は、こじれた男女関係を思い浮かべてしまう。

一度は惹(ひ)かれあった仲なのに、過去のあやまちを、なにかと持ち出して責め続ける側と、また一方、なにかにつけ悪いところばかりをあげつらね、うんざりしているカップルの関係に似ている。

またときには、おたがいのそんな関係を、煽(あお)りたがるヤツがいると、それはもう厄介である。
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by ogawakeiichi | 2009-06-07 14:55 | 南日本新聞コラム
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