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彩遊記

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松本清張

九州にとびっきり男前の女組長がいるのだが、その組長から、ときになんとなく、さりげなく、縁起が、ちょこんと放たれ、そしてやってくる。こんどはこれかぁ。・・「疑惑の時代」

世に、これが「真実だ」と断定できるものは少ない。間違いなしと多くの人に思われていることでも、疑点がいっぱいある。資料や正確な情報の不足によるところが多い。

さらには先入観に支配される。先入観は、主としてわれわれが他から受けた知識や経験法則によって形成される。 他からの知識というもの、じつは曖昧なものである。たとえば権威者が書いた著書とか、述べた言葉とかも、丸呑みにできないものが少なくない。盲従するのは危険である。

また、自己の経験というのも、狭くて心細いものだ。判決文などによく見る「経験則に照らして」というのは、一般の公約数的な経験の方則だが、これもただ経験上そうだというだけで、真実とはいえない。

現在、マスコミ時代で情報があまりにも氾濫しているが、それらの多くは真偽不確定であり、つまりは情報がないのにひとしい。

もし作為ある情報がマスコミに強力に登場したとき、われわれはその意図に引きずりまわされることになる。

いまはすべて疑ぐってかからなければならない時代といえる。政治でも、社会でも、裁判でも、個人でも。夫婦間でも、恋人のあいだでも。ーーあえて「疑惑の時代」と書くゆえんである。。。。松本清張 ※「疑惑戦線 松本清張スーパー・ドキュメントブック」(1982年 工作舎)より抜粋 ・・
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by ogawakeiichi | 2009-11-11 09:22 | 日本史&思想
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