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彩遊記

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万物照応

f0084105_141935.jpg東洋には老荘思想の『無為自然』や『華厳経』の『重重無尽帝網』のような考えかたがあった。

すべてが融通無碍(ゆうずうむげ)につながっていくという世界があった。

しかし、われわれはどうやら部分と全体を分解しすぎたようだ.

モノやコトに対する会話の言説も、あいも変わらす、好き・嫌い。良い・悪いの二分論から抜け出せない。いつまでたっても、決着をつけたがる。

きのう横須賀を母港とする原子力空母 ジョージ・ワシントンが黄海へ向かった。。これにより極東アジアは、一触即発の構えをとった。

国内矛盾をかかえた国と、アジアまでやってきて産軍共同で経済再興を計る国家の間に、なにがあってもおかしくない。

尊敬するデザイナー、杉浦康平は、数十年前から一貫して、アジアには善悪の二元論ではないもっとダイナミックな思想があることを説いていた。

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◎1984年2月8日に、東京・大手町の経団連会館ホールで開かれた毎日デザインフォーラムにおける杉浦康平の講演は、アジア各地の万物照応しあう図形群の紹介であった。

◎アジアの教えで重要なことは、対をなすものたちが世界をま半分に分けるものとして存在するのではなく、一方が必ずといっていいほどに、他のものを包みこもうとする働きをもつことだ。

◎それはつまり世界が右と左に二分されるのではなく、右と左が意識された瞬間から、ひとつになろうとするダイナミックな流動が生まれることである。
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大阪・四天王寺の左右一対の火焔太鼓が象徴する太陽と月。そこには片や龍、片や鳳凰が舞い上がり、太鼓中央に一方は「右巻き三つ巴」。
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一方は「左巻き二つ巴」が据わる。左方の「日輪-三つ巴-三色輪」は陽の気、右方の「月輪―二つ巴-二色輪」は陰の気の満ち足りを表す。このように、ふたつの太鼓は陰陽の二気を対置させ、きわまりなく移り変わるあらゆるものを渦巻かせて、創世の力を鼓舞してやまない・・
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また、中国と韓国の巨大な太鼓である「建鼓」。太鼓全体が、宇宙の中心をなす空想の山である「崑崙山」を模すとされ、ここにも鳳凰が頂上に、四方に龍の首が張り出している。一対の鳳凰と龍。それぞれが具有する「天の火」と、「天地をめぐる水」がここでは対置され、ふたつの鳳凰と龍。それぞれが具現する「天の水」と「天地をめぐる水」がここでは対置され、二つの力の競いと打ち解けが農耕の豊かな稔りの根源となっていく。
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インドで生まれた聖山信仰「スメール山」が須弥山となり、中国の崑崙山、蓬莱山をへて、朝鮮半島の金剛山、日本の富士山信仰へとつながっている。
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その富士山信仰を描いた狩野元信筆「富士参詣曼荼羅図」山の中腹を巡る日・月は、富士がひとつの〈宇宙〉として認識され、インドに発する宇宙感が極東の島に終着点をえたことを示している。続いて、身体の左右観、不動明王やインドのシヴァ神の日月眼、さらには、神社の神輿(ここにも鳳凰と龍の拮抗と融和がみられる)や曼荼羅などなど。これらに内包されている対概念「二而不二」(二にして一)が、芋づるのように次々にたぐり寄せられる・・・。
(杉浦康平のデザイン 186p・187p)

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世界とは「分かれる」や「分ける」状態にとどまらず、一つに「成る」ということだ。一つの世界が二つの極を包みこみ、二つの極をもつものは、よりおおきな一つの世界をとりこもうとする。

アジアの教えで重要なことは、これら対をなすものたちが世界をま半分に分けるものとして存在するのではなく、一方が必ずといっていいほどに、他のものを包みこもうとする働きをもつこと。

世界が右と左に二分されるのではなく、右と左が意識された瞬間から、ひとつになろうとするダイナミックな流動が生まれること。陰陽、日月、左右、鶴亀・・など、あらゆるものが出会い、対をなし、流動し渦巻ながら、一つのものに溶け合っていく。

「分かれる」や「分ける」状態にとどまらず、一つに「成る」ということ。一つの世界が二つの極を包みこみ、二つの極をもつものは、よりおおきな一つの世界をとりこもうとすること・・。

元来のアジアにはこのような考えが基本に潜んでいるのだ。
(かたち誕生 杉浦康平 50P・51P)
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by ogawakeiichi | 2010-11-27 13:54 | アジア史&思想
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