
無作為に本棚にある一冊の本を、バタバタとバックに入れて鹿児島港高速艇ターミナルへ向かう。種子島まで往復4時間。その往来の船中で読もうと、手に取ったたまたま本。
ずいぶん前に読んだ痕跡の赤線をガイドに、その周囲を再読すれば、一読のときに気づかなかったことにハラハラ・オラオラ。
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〇デザイナーは、変更や訂正を嫌う傾向にある。誇りある仕事に向かう構えとしては理解できるものの、しかし往々にして観察不足やコミュニケーションデザインの不足が原因の場合も多い。
〇デザイナー自身がモノづくりの範囲からコトへの自在へ横超しなければならない。
〇それはまずは、観察で得た鍵をもとに、柔らかな余白をもったプトロタイプを生み出し、鍵穴に差し入れてみる。それを揺さぶりながらよりよいプロトに仕上げていくことだ。
〇プロトタイプから、そこでの問題点を洗い出す、ユーザビリティーテストを行ってみる。
〇ユーザビリーテストはコンピュータのソフトウエアーをつくるうえではよく行われているが、テストを二回くりかえすだけでも、開発中のソフトが抱えている欠点の大半が発見できる。というくらい無視できないプロセスである。
〇この場合、実はどんなデザインでもまったく一緒なのだが、デザインをする側はどうしても絵をかくことを完成と見做す傾向がある。
〇本当は、デザイナーも別の場所ではユーザーであるはずなのであるが、いざものづくりの段になると、自分の中にある、「作り手」と「使い手」の距離はどんどん離れていくことになりがちだ。
〇作り手はつくる方のプロではあるものの、かならずしも「使い手のプロ」ではない。
〇何かをデザインする場合、それを使う人の特性やその人が置かれた状況を把握しておくことは、自分のデザインを他者の目から、もう一度客観的に見つめなおし、「本当にデザインすべきことは一体何か?」をはっきりさせる必要がありそうだ。
〇これまでデザインは出版物やデジタルコンテンツのような「メディアのなかで表現される情報」を対象として、そこにどんな情報を入れていくかにエネルギーをつぎ込まれていた。
〇情報は人がそのこの世界のなかでいかにコミュニケーションしたり環境とかかわったりしているような、複雑で多様な経験から切り離され、紙やデジタル媒体などにとじこめられることで、初めてデザインの対象になりえた。
〇しかしながら、情報をそれを生み出す人や環境と切り離してしまうことで、デザインは一見やりやすくなるように見えながら、その反面おおきなあやまりを抱える場合もあるのである。
〇人間を含む動物は、この世界にあふれる情報をその身体を道具(メディア)にして読み取っている。
〇いいかえれば、この世界には私たちが感じることのできる「価値ある情報」があちこち存在していて、人間を含む動物はそれぞれのやりかたで、こうした情報をあちこち探索しながら生きている。
〇このような視点を「
アフォーダンス」という。