「ケヴィンリンチ・都市のイメージ」←
丹下健三訳・・・
道を見つける過程における重要な手がかりは、環境のイメージである環境のイメージとは個の人間が物理的外界に対して抱いている総合的な心象のことである。
現在の見たままの知覚と過去の経験の両者から生まれていく。
そこから情報を解釈して行動を導くためのイメージを、それぞれが用いて行動している。
つまり鮮明なイメージを生み出す生き生きとした物理的背景というものは、また社会的役目も果たすものである。
ケヴィン・リンチは、都市の環境イメージをアイデンティティ identity(そのものであること)、ストラクチャー structure(構造)、ミーニング meaning(意味)の3つの成分に分析した。
とくに『都市のイメージ』では、アイデンティティとストラクチャーの2つに絞り込んだ。
ケヴィンリンチは満足できる都市の形態をつくるためには、5つのエレメントがあり、これらの相互作用を考慮して組み合わせる必要があると書く。
リンチのいう都市のイメージタイプとは、次の5つだ。
パス path 道路
人が通る道筋。
街路、散歩道、運送路、運河、鉄道など。
エッジ edge 縁
連続状態を中断するもの。地域の境界。
パスにならない鉄道路線、海岸、崖など。
ディストリクト district 地域
比較的大きな都市地域(部分)。
その内部の各所に同質の特徴がある地域。
ノード node 接合点、集中点
重要な焦点。
交差点、広場、ロータリー、駅など。
ランドマーク landmark 目印
外部から見る道標。比較的離れて存在する目印。
建物、看板、モニュメント、山など。
都市のデザインという芸術?は他の芸術とは本質的に異なっていること。都市のイメージは変化していくこと。←これは、どのデザインにも言えると思う。なぜなら切り取られたデザインには時間軸が作用してないからだ。そんなデザイナーなんて、都市建築系の他には、おいらしかいない。←言い過ぎだろ~笑
目指すべきは、視覚的に把握できる、分かりやすい都市。ランドマーク(目印)やパス(道路)がたやすく見分けられ、しかも都市の全体的パターンを容易に理解できるもの。分かりやすさが都市環境にとって決定的に重要である。
つまり、利便性のある都市とは環境イメージの鮮明さと一貫性が決定的条件になるのである。
『都市のデザインの芸術が高度に発展するかどうかは、批判力をもつ注意深い聴衆が誕生するかどうかにかかっている。 もし芸術と聴衆が成長するならば、われわれの都市はそのときこそ、その数百万の住民の毎日の生活を楽しくする源泉となることができるだろう。』