ブログトップ

彩遊記

ogawakeiic.exblog.jp

新校舎移転

昔、昔お世話になった「さるさる日記」が停止になるそうで・・過去に南日本新聞連載原稿をここで保存しておいたのですが、こちらへ移しておきます



■ 新校舎移転=9月22日南日本新聞掲載=

●新校舎移転
秋を予感させる赤トンボの群れが舞い始めてはいるのだが、『中秋節(秋の十五夜)』を過ぎたというのに、夏の盛りのようなギラギラした太陽光が降り注いでいる。特別な用事でもない限り、日中は部屋から出たくはない。

この暑さの中、9月の新学期を向かえた。新入生は恒例の解放軍教官による3週間の“軍訓”がはじまった。“軍訓”と書くと、おどろおどろしだが、行進がメインの団体訓練だ。教室へ向かう途中、垣間見るグランドでの訓練は、かならずクラスに一人くらいドンくさいのがいて、行進の足並みは、未だいっこうに揃わない。緊張感なんてまったくない。なんだか初々しくて微笑ましい。まぁ、全国各地からやってきた新入生初顔合わせ共通体験といったところだ。とはいえ、やはり『異国』を感じる。

例年この時期、キャンパス内の放課後は、新入生を誘うクラブ勧誘の大声に満ち溢れているのだが、ことしはちょっと様子が違う。学校改革にともなった生徒数の拡大で、9月の新学期から、郊外の新校舎に移転するはずだった。しかし、完成予定の新校舎が未だ出来上がっていないのだ。いまの校舎に割り当てられた新入生の一部を除き、多くの新入生たちは、他校に間貸りしての新学期が始まった。だから、ちょっと静かで寂しいキャンパスだ。
 
近年来、多くの学校で合併や改革にともなうプロジェクトが進行している。それに伴い、校舎をリニュアルしたり、新しく作ったり。数年前は東大クラスの精華大学が、デザイン教育最高峰の中央工芸美術学院を併合した。地方の大学も統廃合は例外ではない。

ぼくのところは、幸運にも、学校拡張が決定し、郊外に新校舎建設とあいなった。着工が始まって早2年。プランでは、とっくに完成しているはずなのだが、異常気象の大雨や、二転三転する資金繰りの問題で、なかなか工事は進まない。学生たちは、とっくに来てるっていうのになぁ‥

ごくごく普通のチャイナライフの経験で言えば、一旦決めたプランであっても、なかなか思うように進んでくれない。プランはあくまでプラン。進まないものは、『しかたないよ』と即答される世界が同居してる。

時として、ピリッとした緊張感のない流れに押し流される。どどっと押し流されると、逆に、『プラン』という束縛から解き放たれた気分になってくる。おっとアブナイ。まぁ、ぼくは、たいした責任もないから、勝手なことが言えるのだが‥しかし、これが、お上の命令を受けた直接の責任者だと、かなり事態は深刻だ。

校長は、北海道大学留学の知日派だ。学校改革の総責任者。青写真では、新キャンパスは周囲4キロ。学生数1万人。市場から銀行、ホテル、警察まである『大学城』だ。ときどき訪ねる校長室では「いやぁー、きついですよ。まいってます。今晩も宴会です」と、日本語で、ぼそっと、ぼやく。
この巨大な工事がスムースにいくように、『しかたがない』を言わせないように、上へ下へと、人脈つくりに奔走している。彼の、乾杯のつづく夜は、開校式まで当分続きそうだ。       
[PR]
by ogawakeiichi | 2011-06-23 08:15 | 南日本新聞コラム
<< 風雨橋 日中設計対照集 >>