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彩遊記

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一路平安

昔、昔お世話になった「さるさる日記」が停止になるそうで・・過去に南日本新聞連載原稿をここで保存しておいたのですが、こちらへ移しておきます



●一路平安=8月4日南日本新聞掲載=

●一路平安
ことしの華南は“超・超異常気象”だ。昨年末から今年の3月にかけ、桂林では、90年ぶりという水不足。節電のために1日3・4回予告無しの停電があるのだが、それに呼応して、水が出ない。洗濯できない。ネットが繋がらない。夜の突然の停電は、学校中から“あ~~”っと、大声が上がり、点灯した 時、また歓声。学生宿舎と、教職員棟に住む約3000人が一斉に、“あ~~っ”て言うのだからら、そりゃあ、天空にこだまする。
 
パソコンで仕事中の停電だったら、データーが消えちゃって、それどころではない。“頻繁に保存”は、頭の中じゃ分かってるのだが、パソコンワークに集中しちゃうと、ついうっかり、忘れてしまう。学生だっておんなじだ。彼らに与えたデザイン課題も、停電続きで締め切りに間に合わない。なかには、停電を言い訳に、わざと遅れる確信犯もいるのだが、まあ、仕方ない。 

多媒体教室(マルチメディア教室)のスクリーンに画像を投影しての授業では、開始5分で突然の停電。さすがに慌てた。だって、画像を見ながらの授業しか想定していないものだから、気がついたときは、80名の学生を前にオタオタするだけ。それを見かねた学生たち、“日本の歌うたってよ”とのリクエスト。ぼくは、中国語でもカバーされてる“長渕剛”バージョンを唄ってお茶を濁す。
 
4・5月は天候は安定しているっていうのに、日中関係の雲行きが、怪しくなってきた。晴天の霹靂。その頃、ほぼ連日の卒業制作指導中。卒展にむけ、4名の学生と、仕事場で長時間を一緒に過ごす。政治の喧騒とは裏腹に、彼らの口から、この話題はでなかった。ぼくの複雑な心境に配慮して、遠慮してたのだろうと思う


6月に入ると、雨が降りだし、あれよあれよというまに、桂林の中心を流れる璃江の水かさがアップしてきた。下流では10万人が緊急避難。華南では100年ぶりという大豪雨。年初めの水不足がうそのようだ。まさにバケツをひっくり返したような雨は、一度に排水溝へ流れ込めず、校内でも、いたるところでプチ洪水騒ぎ。学生が、授業に遅れたときの“言い訳”も、この雨だ。まあ、これも仕方ない。
 
豪雨が治まると、37度を超える猛暑が始まった。昼間は、外出できない。厳しい日差しだけに、学校周辺の屋台は、夜になると涼を求め、ビールでカンパイの人々で溢れかえる。もちろん、学生たちも例外ではない。

7月初め、この猛暑の中、卒業制作発表会が開かれた。昨年指導した学生がトップを取っていただけに、今年も、密かに狙っていた。だが、4名とも入賞無し。くやしがるというより、あっけにとられる学生たち。指導教官である、ぼくの気持ちを察してか、その夜は、日本料理へ招待してくれた。(
実は、韓国?焼肉だったのだが‥)。
 
7月下旬、卒業式を終えた、ぼくの学生は“はじめて日本人に触れられ『新鮮』でした”と言い残し、就職の決まった沿海部、広州、上海の工房やデザイン事務所へと旅立った。『新鮮』という言葉が、みょうに印象に残った。

一路平安!がんばれよ。大陸の夏は、別れの季節でもある。
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by ogawakeiichi | 2011-06-23 08:19 | 南日本新聞コラム
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