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彩遊記

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中国的設計事情

昔、昔お世話になった「さるさる日記」が停止になるそうで・・過去に南日本新聞連載原稿をここで保存しておいたのですが、こちらへ移しておきます



●中国的設計事情=5月12日南日本新聞掲載=

●中国的設計事情
現在、渦中の中国に滞在中である。何かと騒がしくなってきた両国の関係に翻弄されないと言えば嘘になるが、渦中を覗くインターネットのモニターを離れ、回転椅子を回せば、目の前には普段の日常がある。中国人同僚・学生たちもネットを通じてこの騒動は知ってる。同僚たちとは本音を戦わせた。私の学生はとても元気だ。よい意味で言いたい事を言うのに、わたしに遠慮してるのだろうか、この話題がでることはない。
 
原稿を打つ脇では、食事を終えた独身の同僚たちが、午後の授業開始まで、思い思いの格好で昼寝をしている。2時間半の長い昼休み。屋上から山水独特の奇峰群が望める美術学部の事務室だ。

気がつけば、スケッチブックを片手にアジアを放浪していた頃から数え、海を越えた日月は十年近い。今、縁あって流れ着いている桂林の街は、急 に真夏になったような暑さだ。
 
わたしは、現在この桂林の地で「アート」と「デザイン」という、美術に属するが、少し趣きの違う二つを柱に活動している。ここでの身分は大学の美術教師。平日は、学生にデザインを。週末は、美術教師の同僚たちと、山水画や抽象画、インスタレーションと、アートに接する日々だ。

今現在中国は、日本の高度成長期のような勢いで、個性を主張するデザインが花盛りだ。とくに昨年の中秋の贈り物「月餅のパッケージは過熱しすぎた。四分の三はパッケージ料金かと思わせる 豪華絢爛過剰包装競争。

流石に、こちらのデザイナーたちからも、「ちょっと違うんじゃ」との声が聞こえだした。形の美しさ、かっこよさだけでないデザインの心に気づき始めたのかもしれない。

先月から、卒業制作指導で学生と取り組んでいるのが、「バリアフリー・デザイン」。バリアフリー先進国日本に学びたいとの要望で、私に一人の学生の白羽の矢が、ところが私の専門外。無碍に断るわけにもいかず、「おんなじデザインじゃ。よっしゃ!」と二人三脚で始めた。急激な発展で心が置き去りになろうとしていることに気づいたみたいだ。
 
わたしが、この美術周辺を彷徨しているのにはちょっとした訳がある。 多感だった高校二年の冬、突然襲った難病で一年間の闘病生活。もちろん学校も留年を余儀なくされた。天井を見るだけの入院生活。その病室で思ったことが、後の人生に大きく影響を及ぼすことになる。「限りある命を
生きる人間にできることは限られている。この難病を克服したら、自分の目で様々な世界を見てみたい。」と思った。

ちよっとキザだが本当だ。それが入院中の励みでもあった。それはヒマラヤであり、砂漠であり、タージマハールであり、カラフルな民族衣装であり、多様な価値観の人々だった。退院後、少しの時期を経て、いよいよその風景、対象を追い求め放浪に出ることになる。

手には薄汚れたスケッチブックを持っていた. 
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by ogawakeiichi | 2011-06-23 09:40 | 南日本新聞コラム
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