ブログトップ

彩遊記

ogawakeiic.exblog.jp

南日本新聞コラム/日本からのお客

f0084105_1448174.gif 雨期の雲の切れ間から、突然、初夏の日差しの太陽が顔をのぞかせる。奇峰群の山々にたち込めた白い水蒸気が風に流され、山水画の世界にグッとちかづく季節がやってきた。

いま華南・桂林は1年のうちで10月に並ぶベストシーズン。秋はどちらかというと、天気はよいのだが、雲が山にわき立つこういう風景は楽しめない。水墨画を描くぼくにとっては、一番好きな季節だ。

昨年は千二百万人の中国国内からの観光客と、百万人の海外からの観光客が山水風景の桂林を訪れた。
 
春休みが始まるやいなや、普段は難なく買えていた福岡から桂林への直行便のチケットもソールドアウト。 こちらへ来られる方の中には、現地に詳しい日本人ということで、いろんなルートから、ぼくにコンタクトをとって訪ねてこられる方々もある。

その多くは、桂林の観光以外に、ぼくの仕事先の学校を含め、こちらの美術教育の現場も見たいという方々だ。

昨年は、なにかとイヤーな雰囲気の日中関係で、日本からの訪問者なんてほとんどなかった。年が明け、大学の試験休みがはじまるころから、訪問客が突然増えてきた。大学の休みを利用して、桂林の風景をスケッチにくる美大生。日本画やデザインの先生たち。交換留学生。少数民族や山水文学の研究者。青年海外協力隊の隊員。はたまた、街中でぼくの学生が偶然知り合って、連れて来た無銭旅行者風日本人バックパッカーの若者。このケースなど、おいおい、いくらぼくが同じ日本人だからといって、街中で知り合ったぐらいで、勝手に連れて来るなよなー、とも思うのだが、まぁ、これも縁だと開き直ると、いろんな旅行体験か聞けて、これがまたけっこうおもしろい。
 
そんな中、ぼくの家族も久しぶりに桂林へとやってきた。実は一昨年、こどもたちはこちらの現地校である中学と高校に、“転校生と留学生”として通っていた。だから、勝手知った場所でもある。なんでも日本から来て現地校で学ぶ場合、正確には、義務教育である中学生の場合“転校生”と呼び、義務教育でない高校生の場合は“留学生”と呼ぶのだそうだ。

日本人のほとんどいない桂林に、日本人学校などあるはずもなく、当時、中国側の現地での受け入れ校は、言葉の問題を含め、だれもが手探り状態だった。まぁ、今となっては、周辺を巻き込んでの『案ずるより生むが易し』を実感しているのだが・・

ふたりが久しぶりに訪ねた現地校では、突然の訪問にもかかわらず、ちっちやな歓迎会を催し、放課後は元のクラスのメンバーが集まり一緒に球技に興じたらしい。こどもたちの、思惑や利権のからまない関係ってシンプルでなかなかステキだ。

最近ぼく的に、なにかとゴタツクことが多かっただけに、そんな話を聞くだけでも、ホッとする。春休みにここ桂林を訪れた色んな人が色んな思いを胸に、日本へと再び帰国して行った。久しぶりにぎやかな3月だった。   
[PR]
by ogawakeiichi | 2006-04-07 13:15 | 南日本新聞コラム
<< 味写シリーズ・朝の公園激写! 小川の【地と図】・小川の主な○○ >>