フィリップ・コトラーと、イノベーションは,それぞれ個別に何度か取り上げてきたが、「コトラーのイノベーションマーケティング」という、バロックな本を見つけ読んでみた。
ズバッといえば、組織論においてイノベーションを考察したもので、とりたててドキッとするような記述はない。最近では経営に複雑系を取り入れたコトラー本より、ダイレクトに複雑系や経済物理学や、行動経済学、デザイン思考系を読んだほうが個人的にはワクワク感がするのだが、それはそれで・・・
ということで、「コトラーのイノベーションマーケティング」の読書メモ。ポイントはアイディアをイノベーションに変える「A-Fモデル」にある。
このモデルは、従来のイノベーション・プロセスが、ひとつひとつのステップを経る多段階モデルであったのに対し、先に役割を決めて協働を生む全く新しいモデルでもある。※「A-Fモデル」ってABCDEFの役割があるだけのことだが、名称が少々仰々しい。
つまり「段階ではなく役割でとらえるという、パラダイムシフト」だ。←ここらあたり経営学者コトラーの真骨頂、経営論のイノベーションといえるのかもしれないな・・。
あるブロガーによると、「A-Fモデル」をこのように捉える
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イノベーション・プロセスを、「野球型」から「サッカー型」に変えたと考えると、分かりやすいかもしれません。
野球では、守備の時は全員で守りますが、攻撃の時は、一人ひとりバッターボックスに立ちます。
自分の打順(段階)が回ってこなければ、何もできませんし、敗因を打てなかった人の責任にすることもできます。
一方、サッカーでは全員がそれぞれの役割を果たしながら、同じフィールドに立っています。
攻撃している場面でも、守っている場面でも常に同じ段階に参加していることになり、
状況によっては、ディフェンスの選手がゴールを決めることもあります。
コトラーさんが示す、「A-Fモデル」は、常にゲームに参加しながらも、それぞれの役割が決まったサッカー型のモデルと言えます。
※わかりやすく大雑把に言えばそんなとこだろう。
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「A-Fモデル」とは、コトラーによって、イノベーションを起こすイノベーション・プロセスをAからFまでの6つの役割としたもので・・以下↓
A : アクティベータ(イノベーション・プロセスを始動する)
B : ブラウザ(情報収集を行う)
C : クリエーター(新しいアイディアを生む人)
D : デベロッパ(アイディアを製品やサービスに落とし込む)
E : エグゼキュータ(導入と実行を担当)
F : ファシリテータ(プロセスが行き詰らないよう後押し)
「A-Fモデル」は個(人)のイノベーターであれば、無意識のなかでやっている気もするのだが、上記のように言語化してみるとはっきり理解できてくる。さらに、これを企業や組織のプレイヤーに共通認識することで、イノベーションチームプレイが生まれてくるのだろうな・・
本書では、従来型のイノベーション・プロセスが目標⇒調査⇒アイデア⇒評価⇒開発⇒投入の【段階】で考えていたのに対し、「A-Fモデル」では【役割】としている。
しかし、ここで提示した従来型のイノベーションプロセスというのは マーケティングの話だと思うのだが....
最後に・・蛇足。
さて、アイデアとイノベーションの違いはなんだろう。それは顧客に対してエスノグラフィー的な十分な観察があるかどうかだ。「顧客のニーズを満たす」ことではなく、それよりずっと奥深い、顧客がいま何をしているかを観察し、顧客の生活を充実させる方法を思い描くことで、顧客の生活の質を高めようとすること。←最近はこれもやらないコンサル屋が多すぎ!