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彩遊記

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理解の秘密

理解の秘密_f0084105_1684345.jpgなにかと大混乱の年を通過中だ。いよいよ、アセンションとやらを通り抜け2013年に入った。今年もまた元旦恒例、南洲寺早朝座禅会にいき、それが終わると薩摩川内の実家で昆布だし甘薄味の雑煮を食べ、夕刻前に、東郷町にある藤川天神での初詣へと行く。藤川天神は学問の神様、菅原道真が亡くなったところとの云われもあり、受験生で賑わう。さて今年はどんな年になるのか・・

年明けのブログ初めは、引きこもりがちで「忍」な年から脱皮して、コミュニケーションへ嚆矢の向いた年にしたいと思っている。それには相互理解にたち向かう覚悟と動きが必要になってくる。

これまでのノンバーバルだから、見ればわかるでしょ。からの決裂宣言。

で、話は一転するのだが・・・「理解」するとは、いったいなんなんだろう?

受験生にとって、普通に生活する人にとっても『理解した』と言えるには、なんらかの過程を経ることなくでは、記憶する脳の貯蔵庫へ仕舞っておくことも、引っ張りだすこともできない。

そこで、やっとのことで見つけたリチャード・ワーマン著、松岡正剛監修のナマ本を参照捲りながらの記録・・・。


『理解する』とはいったいなんなのか?

う~ん。

じつは「理解」にとってもっとも重要なことはコミュニケーションであり、さらにその奥に控えるインストラクションの働き。というのが本書の解答!

「インストラクション」とは「指示」でなくて「説明」という語感に近い。日本では江戸時代に使われていた「指図」とか「段取り」という言葉かそれにあたる。


「インストラクション」が見えないということは、そもそも「理解」とは何か、理解ってどういうふうに進むのかということがわかっていない。

「インストラクション」でもっとも重要なことは相手をできるかぎり理解させることである。

われわれの日常の行いには、仕事と暮らしが深くかかわっている。たとえば料理の注文から、あらゆることまで、それにはコミュニケーションの成否が関わってくる。

玩具の組み立てからコンピュータの操作まで、すべてはコミュニケーションであり、コミュニケーションの奥に控えるインストラクションのやりとりにかかっている。

動かない情報や知識は、情報でも知識でもない。情報や知識は移転によってこそその力を発揮する。

料理を注文して食べるという行為にも、情報と知識の【レパートリー】があり、【カウンター】があり、それを移転するための【パレット】がある。

つまりどんな仕事の本質も【情報の転移】でできており、その情報の転移により「理解」のシャッフルがおこる。

インストラクションがコミュニケーションの鍵を握り、「理解の秘密」をインストラクションが握っている。

この本の著者リチャード・ワーマンは、仕事こそが表現であり芸術であり、生活であって技能であるとまで言い切った。

彼は、すべての仕事は【アンダースタンディング・ビジネス】となるべきだと口癖のように言っていた。

また、リチャード・ワーマンは情報は建築と同じものに近いと考えた。


まず【情報建築】(Information Architecture)という概念をつくり、情報の分類の基本には100や500の区立てはいらないという仮説に到達していた。

彼によると、情報の組織化に必要なのはたった5つ。

それは
●「場所」(Location)
●「アルファベット」(Alphabet)
●「時間」(Time)
●「分野」(Category)
●「階層」(Hierarchy)
略してLATCH。


さらに
インストラクションの基本は次の5つ(5つだけ)で構成される。
●送り手(givers)
●受け手(takers)
●コンテンツ(content)
●チャンネル(channel)
●コンテクスト(context)


【インストラクション】がうまくなるには、自分のなかの送り手と受け手が重層的になる必要がある。つまり、自分で送り手と受け手を演じ分ける能力がいる。それゆえ、自分の中に起居している該当知識をつねにノートの左側と右側とに書き分けていくような感覚が必要になる。←送り手と受け手を同時に俯瞰しながら、ズレを修正していくってことだろう。

【コンテンツ】は、静止するコンテンツと見てはいけない。コンテンツとは情報のシンタックスから内容のセマンティクスを取り出して次のトポスのところへ、そのセマンティクスを巧みに移転することなのである。シャッフルし、編集し、リデザインすることなのだ。

コンテンツを動かそうとしたときの、その動きを方を含めたものがコンテンツである。

じっとしているコンテンツはコンテンツではない。そのようにコンテンツを見ると、コンテンツは3種類に分かれる。

●(A)過去のコンテンツ
●(B)現在のコンテンツ
●(C)未来のコンテンツ

これらのコンテンツを動かすには歴史編集が必要だ。だが、それだけではない。ここにはきわめて総合編集的な「知識移動の構造」が準備される必要がある。それを創りながら知識の移転を図っていく※ふつうの情報整理術屋たちはインストラクションに「時間朔行」や「歴史」を持ち出せない。

●(B)現在のコンテンツ
現在の行為についてのコンテンツをインストラクションする。つまり現在の行為についてのインストラクションとは、自分や自分が属しているチームが何かを思考していたり試行しているときのインストラクションをさす。

この場合、コンテンツの価値が決定していないことが多い。インストラクションしているあいだにいわゆるアイディアの産出がおこる。アイディアとはインストラクションの途中から生まれて新たな理解力をつくるためのものなのである。

ワーマンはアイディアが生まれ、それにあとからインストラクションがくっつくより、インストラクティブ・プロセスがアイディアを生んだ場合のほうが、ずっとその後のアイディア成長力がいいという。だから(B)においては、まさにリアルタイムの自己編集と相互編集のスイッチを押す方がいい。

●(C)未来のコンテンツ
一般にはこれがインストラクションだと思われてきた。だからこのインストラクションはわかりやすくは「上司の指示」や「尋ねられた道を教える」といったことにあらわれる。けれど、それだけではない。未来に属するインストラクションがすべてここにある。会社の方針をどう説明するか、経営者のヴィジョンをどう説明するか、社会の未来像をどう提示するか。これらは(C)のインストラクションなのである。

実はここには、自分が気がついていないインストラクションも含まれる。社会が暗黙のうちに、また偶然に与えているインストラクションも(C)なのだ。

つまりこの(C)のインストラクションには、「社会の解読を促すインストラクション」がひそんでいる。それを発信するのが仕事だとすれば、ここでは「他者の知恵」を取りこむことこそ、新たなインストラクションになりうるのである。

しかし、このインストラクションの“種”は、たいていの場合、戦争の予感や政治不信に出入りしていたり、書物の中にあったりテレビの中にあったり、ファッションや株価になったりしているので、また廃れた商店街や低迷する業界にあったりするので、そこにインストラクションがひそんでいるとはなかなか思えない。

だから(C)のインストラクションを組み立てるのはきわめて高度にもなる。けれどもそこを組み立てるのが、最もラディカルで、最も未来的なインストラクション編集なのである。
by ogawakeiichi | 2013-01-02 11:30 | 情報とデザイン
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