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彩遊記

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私的記憶整理/国家の品格

私的記憶整理/国家の品格_f0084105_14192349.jpgことしの1月から日本で4ヶ月間、ベストセラーを続けている本らしい。この本を読んでみたいとかねがね思っていたのだが、中国内陸のここ桂林で読むことは諦めていた。

タイの首都バンコックにある紀伊国屋規模の書店が、上海にでもあれば3ヶ月に1度くらい本の買出しに行くのだが残念ながらいまのところ無い。もちろん、ネットである程度は読めるようになったのだが、やはりごろっと寝そべって本の活字読む至極の時間を過ごしてみたいものだ。。

ひさびさに先週、桂林の日本料理屋へ食事に行くと、旧知の日系デパートの社長も食事中。
日本への一時帰国を終え、ベストセラー本のたぐいをドサッと持ち帰っての再赴任。その中の一冊に“国家の品格”があった。さっそくお借りして読んでみることに。作者は新田次郎氏のご子息で、数学者の藤原正彦。

この本の内容は、ザックリ言って、日本人は愛国心を持ちなさい。英語なんか習わなくていい、
武士道に戻りなさいという内容である。藤原先生に楯突くつもりは毛頭ないが、読みやすいけど,かなり大雑把で大胆だ。

しかし、訴えたいことよくはわかる。かい摘んでこの本のポイントをとりだしていく。

現在、すべての先進国で社会の荒廃がすすんでおり、その原因は、近代のあらゆるイデオロギーの根幹をなす「近代的合理精神」が限界ぶつかった。わざわさ環境破壊したいやつなんていないのに着実に環境破壊はすすんでいる。犯罪、テロ、家庭崩壊、教育崩壊。世界中のあらゆる人がなんとかしなくてはと思いながら、いっこうに埒があかない。その原因は西欧的な論理、近代的合理精神の破綻にある。

たとえば、近代合理主義の戦前の代表、帝国主義。
帝国主義を簡単に言えば、「おまえたちは、劣っている。そのままにしておいたら、殺し合いや伝染病が流行り飢餓で死ぬ人もでてくるだろう。だから統治してあげる」というものだ。

じゅあ、資本主義はどうなのか?
資本主義の弱肉強食に徹すれば、組織はたしかに強くなるが、社会は安定を失ってくる。
資本主義の旗手アメリカは、弁護士の数、日本の20倍、精神カウンセラーは日本の50倍とも言われている競争社会を徹底すれば、こういう現象がおこるのだ。

最近では、何でも市場に任せれば一番効率がよいという「市場原理主義」がある、この論理は公平に戦って、勝ったものが利益を全部とる。公平に戦った結果だから全然わるいことはないというものだ。

しかし,この論理に従うと、公平とはいえ、力の大きいものは、小さいものを駆逐していく。
果たしてこれでよいのだろうか。・・論理とか合理が重要なのは言うまでもないのだか、それに頼りすぎると、とんでもない結果に振れていく。

なにかが変だ。
じゃあ、それはなんなのか。
まず、第一に、それを進めてきた論理に問題があるという。
人間の論理や理性には限界があるということだ。すなわち論理を推し進めていっても、それが本質をついているのかどうかを判断できなくなってしまうということだ。

たとえば国際化とう言う論理のもとに、即、英語教育だという論理は、国民に受け入れやすいのだが、もっと大切なものを忘れたり、他の解決法に目がいかなくなったりしてしまう。
彼に言わせれば、国語教育も徹底してないのに、英語教育などもってのほかだとして、英語教育廃止論さえ唱えている。

ぼくは英語教育廃止はちょと極端だと思うのだが、すなわち、彼が言いたいのは“論理より大切なこと”を忘れるなと言う事だ。

第二に、もっとも重要なことは論理では説明できないという。
例えば、人を殺していけない論理的理由なんでなに一つ無い。これは論理ではない。論理ですべてをつらぬくのは欧米の思想であり、論理で説明できないところを「ダメなものはダメ」と、しっかり教えるところに日本の高い道徳の源泉があったという。


第三に、「論理には出発点が必要」だという。
まずAがあって、AならばB.BならばC.CならばD・・というかたちで結論に達するのが論理だ。
しかしこのスタートであるAが間違っていたならどうなのか。スタートのAを選ぶのは人の情緒なのだ。

上記の第一から第三まで、数学者らし、論理的に話を展開させるものの、出発点は彼の情緒だ。 ※彼が言う情緒とは、野に咲く一輪の花をきれいだと思う心。

さらに、こうした情緒を生み出す行動基に近いのは、武士道精神だと言っている
武士道精神を具体的に言えば、慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠のことだ。

日中戦争は、これが失われつつあったのは昭和の初期。スターリンや毛沢東の挑発に乗って、
まったく無意味な弱いものいじめの侵略であったとしている。

上記はざっと、ぼくの興味の持てるところをピックアップしてみた。

さて、国家の品格のまとめに行こう!
国家の品格とは・・
①独立の不羈。自らの意思にしたがって行動のできる独立国
②高い道徳。◎道徳とは行動基準、判断基準となる精神のかたち。言い換えれば武士道を規範とした精神)
③美しい田園。
④学問、文化、芸術などで天才が輩出されていること。◎天才の輩出される土壌とは第一条件。“美の存在”。第二条件。“なにかに跪く心”第三条件。“精神性を尊ぶ風土”この3つが天才を生み出す。

かっての日本人は品格をもち“情緒と形の文明国”だった。
日本人がいかに品格を忘れ幼稚になったか・・

いまの日本に必要なのは論理より、情緒。
民主主義より武士道精神。
それにより“国家の品格”を取り戻そう。
こういう本だ。
by ogawakeiichi | 2006-05-10 13:49 | 日本史&思想
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