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彩遊記

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南日本新聞コラム・外国人教師

f0084105_12582844.jpgことしも年の瀬、師走にはいった。
といっても、こちらでは旧暦を使用するので、ちまたで言われる“先生も走りまわる忙しさ”には程遠い。(旧暦の年越しは来年二月十七日)。
ぼくの受け持つデザインクラスも旧正月の休み前まで、淡々と授業が続く。
毎年のことだが、ここ中国・桂林は、十一月の半ばをすぎると、それまで半袖で過ごせていたのが、降り続く雨で気温がグングンと下がりはじめる。半袖シャツからとつぜんコートへと衣替えすることになる。
教室の窓ガラスは、破れたままで寒風が吹き込むのだが、それでも学生たちは平気なようだ。
桂林の冬の到来を告げる雨が降り始めたころ、となりの湖南省でデザインの教壇にたつことになったJOCVの先生が授業を参観・実習したいと訪ねてきた。日本人が中国でデザインの授業をすすめるにはどんな方法でやっているのか見てみたいという。
ここ数年中国では、デザインの時代到来と、デザイン科を増設する学校が急増している。外人教師も語学以外、デザインや音楽、体育の分野でちらほらとみかけるようになってきた。外人教師が一応に苦戦するのが、専門用語の中国語だ。
ぼくの受け持つクラスはグラフィックデザイン三年二班・二十五名。平均年齢二十二歳。
湖南から来た日本人の先生は、このクラスで1週間ほど授業を参観・実習することになる。クラスに漂う雰囲気も、ちょっとした好奇心でにわかに騒がしくなる。 
さて、ぼくの授業だが、語学力の無さをカバーするため、毎日、教室にプロジェクターを持ち込んでスライドを見せながらすすめている。ちなみにある日の授業はこんな感じだ。
「さあ、いつもの観察力の訓練をはじめるよ!」(スライドを写す)
「これは北京オリンピックのマーク」(30秒マークを凝視したあと、スライドを消す。)
「さあ、記憶だけで、マークを模写してみよう!」「マークに潜む意味をみつけた人はすぐに描けるはずだよ。」
「このシンボルマークは中国・国内外から、二千人余りが参加したシンボルマーク競技会で決まった。じつはぼくも、参加した。二千倍の競争率だからねぇ。当然、落っこちたけどね。アハハ・・」
「どーだい、描けたかい?」(スライドを再び写す)
「審査会で決まったマークは、中国伝統の落款の技法で“舞い踊る人”をシンボル化しているね。」
「よく見ると巧みなテクニックを使い絵柄の中に、北京の《京》の字が潜んでいるよ」と、スライドを見せながら、こんな具合だ。
さて、湖南から参観にやってきた日本人の先生のことだが、ぼくの授業をみて自信がついたのか、研修の総仕上げとして、得意とする“似顔絵の描き方”を学生たちに伝授して桂林をあとにしていった。クラスにとっても、ぼくにとっても、ちょっと新鮮になれた1週間だった。
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by ogawakeiichi | 2006-12-02 13:00 | 南日本新聞コラム
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