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彩遊記

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ネズミの嫁入り

ことしの旧正月は2月1日。
おおよそ華人のいる場所では、今週あたりからチャイニーズ正月の香と音と色が
五官を刺激し始める。
シンガポール、ベトナム、タイ、カンボジア・・・

悪餓鬼たちは、正月までまだ幾日もあるのが待ちきないのか爆竹を鳴らし、
野菜市場や路上では「対聯」や「門神「と言われる、
おめでたいだいたい赤が基調の年賀の品々が売られる。

f0084105_9433027.jpgその一つ「対聯」が正月に向け家々の玄関に貼られる。

入り口の右側に張るのは「上聯」、左側に張るのは「下聯」、上に張るのは「横批」と言う。
「上聯」と「下聯」の文字は意味が左右に対照的な対句になる。
「横批」は対句をまとめた意味や、他の意味に転じたりする短い1句という規則がある。

宋の時代に始まったとされている「対聯」を貼る習慣は、明の初代皇帝朱元璋が南京に首都を定めたとき全ての民に「対聯」を貼る様命を下した。そのときから「春聯」とよばれるようになった。(劉肇新)

「門神」の画から発展したものに「年画」(nianhua)がある。日本でもかつては「七福神」の絵を飾ったりしたように、歳末に春を迎えるために華やいだ画を飾るという気持ちは「日中」に共通した感情であろう。
宋代に版画によって印刷する技術によって「年画」は飛躍的に発達した。かつての「神荼」(shentu)右に「鬱塁」(yulei)という二体の武神の絵柄だけでなく「鐘馗」やさらには歴史的な人物の「關羽」や「王昭君」など美人も好まれるようになった(劉肇新)

なかにはネズミなど、年年の十二支が題材になったものも多い。

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by ogawakeiichi | 2008-01-19 17:32 | アジア史&思想

f0084105_12373247.jpg僕の愉しみの一つに筆の収集がある。

なにげなく買っていた筆が、気がついてみれば五十本を越える頃、ずらりと並んだ筆の姿に、美しさを感じる。

その頃から絵を描く筆に加え、材質やカタチの違う筆を愛玩品としても集めてみたいと思い始めた。

今では筆のコレクションがざっと五百本を越えた。
集めてみれば、仕事柄、水墨画で使う筆がメインになるが、それ以外でも油絵、水彩、化粧筆と多種で多彩だ。

化粧筆は絵画の表面に金粉を、薄っすらと塗りこむとき使用する。もちろんお化粧にも使える高級筆だ。

筆のなかには円筒が横に連なる連筆とよばれ、広い面積を均等に着色したいとき使用する筆もある。

新しい筆と出合うと、おもむろに取り上げ、可愛いペットを丁寧になでるように、軸先から穂首にかけ、毛並みの触感を確かめる。

特に小筆の場合、穂先にある、筆の命ともいえる命毛(いのちげ)と呼ばれる部分は念入りに見る。

僕が筆の収集を本格的に始めたのは、中国・桂林で暮らしはじめてまもなくのこと。古い街並みの続く裏通りの薄暗いアーケードを、探索しながら歩いていたとき、筆屋の軒先に掛かっていた大筆との出合いに始まる。

その大筆の、ほうきのようなスケールに度肝を抜かれた。
タスキ掛けハカマ姿の書道家が、ほうきのような筆を両手で持ち、小走りに書く“書初めの風景”はテレビニュースで見た覚えがあるものの、本物の大筆を見たのは、はじめてのこと。
巨大な筆に招かれて筆屋に入った。

薄汚れたガラスのケースの中には、様々な穂先をもつ筆が無秩序にならんでいる。 
筆の穂先は、羊や馬の毛、イタチやタヌキの毛を使うのが一般的だが、躍動感のある線を描く

軍鶏の羽をそのまま使った筆、ワラを使ったワラ筆など、これまで出合ったことのない筆ばかりだった。

筆を手にもち、書や絵を描く構えをとることは、筆が身体の一部になるということ。自分の脳の概念思考を筆へと伝え、紙やキャンバス上でカタチとして表現する。

しかし自分の感覚にぴたりとフイットした筆との出合いは、ナイーブでなかなか微妙だ。
「弘法筆を選ばず」ということわざがある。

この意味を、弘法大師・空海は、字を書くのに筆は選り好みしない。すなわち、できるヤツは道具の良し悪しなど問題にしないことだと思っていた。

でも、このことわざ。筆マニア、そして、空海ファンの僕にはどうしても腑に落ちなかった。調べてみることにした。

彼は唐に留学中、筆の作り方を学び、帰国後、書体の違いにあわせて作らせた楷書、行書、草書用の小筆と写経用の筆四本を、当時の嵯峨天皇に献上しているのだ。どうやら僕の勘違い。

本当の意味は、“自分の技術不足を道具のせいにする人を戒める言葉”らしい。
ふふふ、これでよかった。
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by ogawakeiichi | 2008-01-07 12:44 | 南日本新聞コラム