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彩遊記

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勘とネズミと新年と

f0084105_1052382.jpgギョウザの問題で日本が揺れている。中国の食が世間を騒がせ久しくなる。
華南・桂林でのぼくの周囲も食にまつわる出来事は、珍事から事件まで様々あった。

5年前のこと、おなじ教員宿舎に住む中国人同僚は、自宅で食事中、市場で買ってきた野菜に残った農薬で一家全員中毒に倒れた。
同僚は、野菜は洗剤でしっかり洗え。生野菜は食べるな。電話は常に携帯しておけ。と、当時一人暮らしのぼくに、なぜか揚々と諭してくれた。
教員たちと行くレストランでは、出されたコップをしげしげ眺め、内側をナプキンでごしごしと拭き、お茶やビールで一旦すすぐ。とても効果があるようには見えないが、その行為自体がなんだか儀式のようになっていた。

水墨画の師匠は、やばそうな場所での外食は、厨房の中まで押し入って、野生の本能を研ぎ澄まし、食材を吟味して注文していた。
ポケットには消毒用だというニンニクを忍ばせ、食事の後には、おすそ分けしてくれた。
良きにつけ、悪きにつけ何でもありの世界では「勘」を研ぎ澄ますことに力をそそいだ。

さて、日本での騒ぎをよそに、七日から春節がはじまる。
おおよそ華人のいる場所では、これからチャイニーズ正月へ向け、色、音、香が五官を刺激し始める。
路地裏の子供たちは、正月が待ちきれないのか爆竹を鳴らしはじめ、野菜市場や路上では「対聯」や「年画」と言われる年を迎えるための、おめでたい品々が売られる。
「年画」は春を迎えるにあたって、華やいだ画を飾る習慣の一つ。門や壁やドアの入り口に貼る。
そのモチーフは、三国志の主人公たちや、その年の干支にちなんだものが多い。
干支の起源は中国にある。朝鮮半島を経て日本へ伝わった。東アジアのほとんどがネズミ年を共有する。

新年を祝う「年画」にネズミが描かれているのは当たり前なのだが、その絵の中に『ネズミの嫁入り』をみつけた。
日本の説話と思っていただけに正直驚く。このルーツ、実は古代インドにあるらしい。
ところで、この、『ネズミの嫁入り』の話だが、親のネズミが娘を一番力のある太陽のところへ嫁にやろうとする。ところが太陽は自分を隠す雲のほうが強いという。雲は自分を吹き飛ばす風のほうが強いという。風はいくら吹いても倒れない壁。壁は自分をかじって穴をあけてしまうネズミが強いという。結局元にもどってネズミのところへ嫁入りする説話だ。

中国のサイトを調べてみると、これに続きがあった。ネズミより強いのは猫になり、親ネズミは娘を猫のところに嫁入りさせる。次の日に娘をたずねると、娘の姿が見当たらない。
娘の居場所を尋ねると猫が言うには、「人間がネズミの嫁さんをいじめるのがおそろしく・・、だから、腹の中へ呑みこんじゃった・・・」とオチがつく。う~ん。いかにも利をとる中国らしい。
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by ogawakeiichi | 2008-02-22 10:52 | 南日本新聞コラム