
この本「次世代コミュニケーションプランニング」の出版社ソフトバンククリエイティヴといえば、東京目黒の第五中学前にあった緑荘に一緒に住んでいた若井君が取締役の会社だ。
著者の高広伯彦氏のことは、彼のツイッターをフォロー以来なにかと気になっていた。コミュニケーションとかコミュニティーが枕詞に付く本は、フィリップ・コトラーのマーケティング2・0以来、山崎亮のコミュニティーデザインをはじめとしてコミュニケーションをコンテンツにしたプランニングブックの連打が続いている。
「次世代コミュニケーションプランニング」もこの文脈にある。ぼくにとってはめずらしく久々に予約を入れといて出版されると同時に購入した本でもあったが、とは言っても新しい言葉を著者なりの解釈で分類解説してるものの、それほど目新しさはない。
気になった個所を箇条書きで表記してみた。
〇伝統的なマーケティングに「4P」というものがある。「Product(製品)」「Promotion(広告・販促)」「Place(流通)」「Price(価格)」である。
〇広告において、クライアントのいうことには「オーダー」と「オファー」しかない。
〇「オーダー」とはいかにスムーズに実行するか、「オファー」であれば、なにをどうしたいのかを明確にすること。つまり、お品書きにないものを熟考していく。
〇そしてそれに応えるためのひとつの方向が「コミュニケーションプランニング」である。
〇今までの「広告」とは、商品やサービスを消費者に「伝える」ための技術・作法だった。
〇「コミュニケーションプランニング」とは、商品やサービスと消費者が「会話する」ための技術・作法である。
〇4Pの概念が生まれたのは高度成長期で、まだモノ余りなど想像もできなかった時代だ。その後に生まれたのが顧客の視点から見た「4C」という概念だ。
〇「4P」が企業視点であったのに対し「4C」は顧客視点である。Customer value (顧客価値)Customer cost(顧客コスト)Communication(コミュニケーション)Convenience(利便性)。
〇今までの広告が、商品やサービスを消費者に伝える技術・作法だったのにくらべ、コミュニケーションプランニングとは、商品やサービスと消費者が会話するための技術・作法である。
〇そして、その手順はまず、商品・サービスがどういった「コンテクスト」に埋め込まれるかを考えることからはじまり。そしてさまざまな種類の「顧客接点」を駆逐していく。
〇そのため、従来の広告やプロモーションの手法の延長線上にありつつも、企業がすでに持っているコミュニケーション手法を棚卸する必要がある。
〇マクルーハンは、メディアを通じてそれまであった空間的、時間的制約が取り払われて、地球規模でコミュニケーションがとれるようになる「グローバルヴィレッジ=地球村」を予言した。それは現在インターネットの世界において、より現実味を帯びてきている。
〇マクルーハンはまた、メディアは人間の身体の延長上にあるものとした。たとえばテレビは人間の視覚を拡張するメディアであり、ラジオは聴覚を拡張する。電話は耳や口を拡張するメディアである。人間の身体には限界があるため、メディアやテクノロジーが身体拡張のために使われており、それらによって、視覚が重視され聴覚が重視される時代になったとする。つまりメディアは単なる「情報の入れ物」や「情報の乗り物」ではなく、メディア自体が私たちの思考や感性の組み立てかたに影響を与えるという考え方だ。
〇しかけとは「人に伝えたくなる情報」で、しくみとは「人につたえやすい機能、ツール」のことである。つまりここには。「しかけ」×「しくみ」という公式が成立する。
〇人を巻き込む小さな工夫をする。商品・サービスそのものによるクチコミの企みというものを考えていく。たとえば、無料配布の2個パッケージなど。(※一個は自分で、もう一個は他人へあげる)←ぼくなら、2つとも自分で食べるが。。(笑
〇「バスマーケティング」と「バイラルマーケティング」の違いを理解する。
〇「バスマーケティング」は話題になる企画。「バイラルマーケティング」は、どうウイルス的に広がるか。
〇たとえば、ホットメール。ふつうにメールを送ってもhotmail.comが最後についてくる。これがバイラルマーケティングのさりげなく拡げるやりかた。
〇「次世代コミュニケーションプランニング」はメディアを発見し、消費者と会話し、クチコミを再考し、コンテキストを生みだしていくことである。
〇その企業・ブランド・商品を取り巻くコンテクストはどう構成されているか。
〇その商品が売れる理由をどうかんがえるか。
〇その商品(やカテゴリー)に関する現在のパーセプションはどうなっているのか。そこに解決すべき課題はあるのか。
〇その企業・商品が過去に培ってきたコミュニケーションの資産はなにか。
〇ターゲットとする消費者層のメディア状況はどうなっているのか。必要であればどのようなメディア・広告枠を開発すべきか。
〇その商品がもっとも「機能する」場所・シーンをどのように考え、演出できるか。
〇PR上・広告上のメッセージ発信のルール、ストーリーをどのように作るか
〇それらの全体構造をどのように描くか
〇それらを実現するためのスタッフを外部、内部含めて集めてこられるか、
と、いったことを考え、実行する職能が必要となっている。
以上。