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彩遊記

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異界を旅する能

f0084105_15343140.jpgここ数年、どこのグループのメンバーにも属さない孤独を自らに課してきた。

組織や団体とのつながりから一定の距離をとり組織や社会を観察したかったこともある。

組織や団体じゃなくって、「人」でしょ。って思いもあった。

つながりや、絆のある社会、ソーシャルネットワークなどどという言葉の流行に対し、いまさらというある種の違和感が発動したことにも起因する。 ※FBという、最大にして最悪?な、装置は使用する矛盾もおかしてはいるが・・。

淡々とした時間の流れのなかで、リアルな旅人のような交わりから醸し出される偶発美に惹かれていたのかもしれない。

孤独に耐えながら、全体が統一されていく演劇である能もそれに近い。

孤独であることの勇気、現代の日本でも失いかけているものだ。

能はお客さんに受けるとか受けないとかはあまり重要ではない。対象は客ではなく自分になる。

能の主要な登場人物には、シテとワキというふたりがいる。


面をつけて舞台で踊ったり跳ねたり縦横無尽に活躍してるのがシテである。それに対して、ワキは面もつけなければ、目立った動きもなく服装も地味である。

能の多くはワキの登場にはじまる。ワキが「あるところ」にさしかかる設定で、ワキはたいてい旅の途次という姿をとる。

そこへどこからともなく一人の女(男)があらわれる。これがシテである(ツレがいるときもある)。

そのうちワキの旅人はこの者(シテ)がふつうの者ではないことに気がつく。そのうち、いずくともなく姿を消してしまう。

このように、ワキが「あるところ」で正体不明のシテと出会うというのが夢幻能の基本構造になっている


何も期待していないときに、ふとワキと出会ってしまう異界。

この「ふと」で、物語が展開していく。このことを、禅では禅機と呼ぶ。

苦境があっても漂泊することで異界と出会い、リセットできる。
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by ogawakeiichi | 2012-11-15 15:36 | 日本史&思想

コトラーのイノベーション・マーケティング

f0084105_7202199.jpgフィリップ・コトラーと、イノベーションは,それぞれ個別に何度か取り上げてきたが、「コトラーのイノベーションマーケティング」という、バロックな本を見つけ読んでみた。

ズバッといえば、組織論においてイノベーションを考察したもので、とりたててドキッとするような記述はない。最近では経営に複雑系を取り入れたコトラー本より、ダイレクトに複雑系や経済物理学や、行動経済学、デザイン思考系を読んだほうが個人的にはワクワク感がするのだが、それはそれで・・・

ということで、「コトラーのイノベーションマーケティング」の読書メモ。ポイントはアイディアをイノベーションに変える「A-Fモデル」にある。

このモデルは、従来のイノベーション・プロセスが、ひとつひとつのステップを経る多段階モデルであったのに対し、先に役割を決めて協働を生む全く新しいモデルでもある。※「A-Fモデル」ってABCDEFの役割があるだけのことだが、名称が少々仰々しい。

つまり「段階ではなく役割でとらえるという、パラダイムシフト」だ。←ここらあたり経営学者コトラーの真骨頂、経営論のイノベーションといえるのかもしれないな・・。

あるブロガーによると、「A-Fモデル」をこのように捉える
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イノベーション・プロセスを、「野球型」から「サッカー型」に変えたと考えると、分かりやすいかもしれません。

野球では、守備の時は全員で守りますが、攻撃の時は、一人ひとりバッターボックスに立ちます。

自分の打順(段階)が回ってこなければ、何もできませんし、敗因を打てなかった人の責任にすることもできます。

一方、サッカーでは全員がそれぞれの役割を果たしながら、同じフィールドに立っています。

攻撃している場面でも、守っている場面でも常に同じ段階に参加していることになり、
状況によっては、ディフェンスの選手がゴールを決めることもあります。

コトラーさんが示す、「A-Fモデル」は、常にゲームに参加しながらも、それぞれの役割が決まったサッカー型のモデルと言えます。


※わかりやすく大雑把に言えばそんなとこだろう。
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「A-Fモデル」とは、コトラーによって、イノベーションを起こすイノベーション・プロセスをAからFまでの6つの役割としたもので・・以下↓

  A : アクティベータ(イノベーション・プロセスを始動する)
  B : ブラウザ(情報収集を行う)
  C : クリエーター(新しいアイディアを生む人)
  D : デベロッパ(アイディアを製品やサービスに落とし込む)
  E : エグゼキュータ(導入と実行を担当)
  F : ファシリテータ(プロセスが行き詰らないよう後押し)

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「A-Fモデル」は個(人)のイノベーターであれば、無意識のなかでやっている気もするのだが、上記のように言語化してみるとはっきり理解できてくる。さらに、これを企業や組織のプレイヤーに共通認識することで、イノベーションチームプレイが生まれてくるのだろうな・・

本書では、従来型のイノベーション・プロセスが目標⇒調査⇒アイデア⇒評価⇒開発⇒投入の【段階】で考えていたのに対し、「A-Fモデル」では【役割】としている。

しかし、ここで提示した従来型のイノベーションプロセスというのは マーケティングの話だと思うのだが....


最後に・・蛇足。

さて、アイデアとイノベーションの違いはなんだろう。それは顧客に対してエスノグラフィー的な十分な観察があるかどうかだ。「顧客のニーズを満たす」ことではなく、それよりずっと奥深い、顧客がいま何をしているかを観察し、顧客の生活を充実させる方法を思い描くことで、顧客の生活の質を高めようとすること。←最近はこれもやらないコンサル屋が多すぎ!

 
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by ogawakeiichi | 2012-11-09 07:23 | 情報とデザイン

チャイナナイン

f0084105_10374113.jpgきょう11月8日から5年に一度の中国共産党、十八大(党大会)が北京で開かれる。

チャイナウォッチャーのわたしとしては、ここ数日、中国情報から目が離せない。

今回開かれる、党大会の流れをザクッといえば、現在の胡錦濤総書記(国家主席)は党大会で総書記から引退。国家主席も来年3月の全人代で次の世代へと引き継ぐ。新たな党の総書記には習近平が、首相には李克強が就任することがほぼ決まっている。

注目されるのは、習近平と李克強以外の政治局常務委員の数と顔ぶれ。

これまでどおりの9人なのか、それとも取りだたされている7人なのか。誰が政治局常務委員になるのか。。。このことは、今後の中国の動向を見ていくうえで、また世界やアジア、ひいては日中関係にとっても重要になってくる。

すこしばかり、中国の政治の仕組みを説明すると、総書記とは、中国共産党のトップ。あくまで共産党のトップであって、それ独自で国政に関する権限は有しない。ただし、党が国家を指導するという大原則から、影響力がもっともあるポジション。

国家主席とは、全人代(全国人民代表者会議)で選出される、中国国家のトップ。ただし、それ自身が単独でなんらかの決定を行う権能はない。イタリアやドイツの名誉職としての大統領に似ている。

つまり、中国共産党のトップであれば、全人代の選挙でも国家のトップとしての国家主席に選ばれるのが通例だ。

中国共産党総書記、中国国家主席、とともに重要なセクションがある。人民解放軍の最高決定機関に当たる党中央軍事委員会主席。ただしこのセクションから胡錦濤が引退するのかはわからない。

中国の人口13億人。中国共産党の党員数は8260万人。党の方針を決める大会が5年に一度。実際の党の運営は党員から選ばれた中央委員会(中央委員が204名、候補委員が167名)が行う。

ところが、この中央委員会も年に一度の開催の形式的なもの。そこで、さらに上の【中央政治局委員25人】が実権を握る。しかし実際は、この25人のうちピラミッドの最上層にいる【9人の常務委員】が日常の方針を決定している。繰り返すが、つまり、重要な事項は「党中央委員会政治局常務委員会」の9人が決めているのだ。

じつは、8月、現指導部(現常務委員9名)や元指導部経験者達が避暑地・北載河に参集し、十八大に向け、次の政治局常務委員を決める熱い権力闘争が繰り広げられていた。

「党中央委員会政治局常務委員」。これこそ中国共産党の「ブラックボックス」であり、さらなる見えない部分である。

この政権の最高決定をなす9人を遠藤誉はチャイナナインと命名した。


北載河の会議をへて、党大会までにある派閥の綱引きを経た結果が、表にでてくる。
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by ogawakeiichi | 2012-11-08 10:29 | アジア史&思想